ヨガとピラティスの違いって何？乳がん治療前後にはじめる際の注意点とは

治療の過程で倦怠感や疲労感、精神的な負担を感じる方はとても多いです。そういった時、ヨガやピラティスが苦痛の緩和に効果があるという話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

乳がんサバイバーにヨガやピラティスが効果的であるという研究は世界中で行われています。

アメリカ・オハイオ州にある州立総合がんセンターの最近の研究によると、乳がんサバイバーがわずか3カ月でもヨガを実践することで、倦怠感や炎症が緩和される可能性があるとのことでした。また、左右対称の動きをすることが多いピラティスは、術後のアンバランスさを自分で正確に把握することができるようになるとも言われています。

身体的・精神的苦痛の緩和につながる可能性のあるヨガとピラティスですが、そもそもこの両者の違いをご存じですか？また、治療前後に行っていいものなのか、悩んでいる方も多いかと思います。

そこで今回は、ヨガとピラティスの違いについてご紹介すると共に、乳がんの治療前後に始める際の注意点、乳がん経験者の為のレッスンを設けているヨガ・ピラティススタジオをご紹介します。

ヨガとピラティスってどう違うの？

ヨガとピラティスの違いが分からず、どちらを始めたらよいか悩んでいる方は意外と多いのではないでしょうか。

まずはピラティスとヨガのそれぞれの特徴を見ていきましょう。

ヨガは約４５００年前にインドで始まりました。そう、歴史がとても古いんです。仏教やヒンドゥー教の修行の一つとして始まったことが起源です。

ヨガの特徴は、呼吸法や瞑想で心と体を結び付け、心身を安定した状態にすること目的としていることと言えます。

一方、ピラティスの歴史はヨガよりも浅く、今から約１００年前に考案されました。ヨガの要素を取り入れているので、ヨガに似ている部分もあります。

ピラティスの目的は、インナーマッスルや体幹を鍛えて、身体を健康的に整えることです。

ヨガはお腹で呼吸をします。その呼吸に合わせてゆっくり動いて止まります。ポーズをキープするとストレッチを感じますし、リラックスやストレス解消に効果的です。

ピラティスは胸の呼吸です。インナーマッスルを鍛えることで体幹を強化し、背骨や骨盤の位置を正しく整えることができます。ピラティスでは、動きながら自分を内観することができますので、「動く瞑想」と呼ばれています。

ピラティスはその昔、戦争で傷をおった兵士が寝たままでもできる体力回復エクササイズとして行われていましたので、安全なエクササイズと言われています。

リラックス効果を得たい方、激しすぎない運動をしたい方や、身体と心のバランスを整えたい方にはヨガがおすすめですし、

身体を安全に健康的に鍛えたい方や姿勢のゆがみを整えたい方にはピラティスがおすすめと言われています。

乳がん治療前後にどのような効果があるの？

まずはヨガについてです。

乳がんでホルモン療法を受けている方の関節痛がヨガによって和らぐとの研究報告がありますし、ホットフラッシュや倦怠感、睡眠障害、不安感が緩和されたというケースもあるようです。ヨガは乳がん患者の様々な症状を軽減することでQOL（生活の質）を改善するという効果が期待できるようです。

続いてはピラティスです。ピラティスは乳がん経験者にとって安全で効果的なエクササイズと言われています。治療でダメージを受けた身体の機能が最短で変化すると言われています。また、ピラティスは左右対称の動きが多いため、術後のアンバランスさを自分で正確に把握することができるよ言うになります。ピラティスの胸の呼吸は交感神経が優位になりますので、自律神経が安定するともいわれています。

放射線治療中、化学療法中、手術前後など、どのタイミングで行って良いか迷う時もあると思います。ヨガやピラティスを行う際は、主治医と相談の上、無理のない範囲で行うようにしましょう。