大人の知恵袋

親の介護が必要となったとき、「自分の仕事をどうするのか」という問題が出てきます。

実際、親の介護が必要となり、仕事を継続していくことが難しくなり退職を選択される方は、たくさんいらっしゃいます。

親などの介護が理由で離職する「介護離職」という言葉があり、この介護離職をされる方が年々増加してきているのが現状です。

ですが、介護により離職をすることで、「親の介護を行う時間が増えることによる自身への負担」や「収入減」により、介護費用や、生活費などを切り詰めなければならない=自身の負担が増えるという、目に見えたデメリットの連鎖を引き起こしかねません。

実際に「介護離職」をされる方が多い現状なのですから、仕事と介護の両立がそう簡単ではないことがわかりますね。

ただ、うまく制度やサービスを活用することで、「仕事と介護の両立」は可能です。

反対に、仕事にいくことで、仕事をしている間は介護から離れることができるというメリットもありますよ。

では、今回は実際に現在「仕事と介護の両立をされている介護福祉士」さんに介護と仕事の両立をするコツを聞いてまいりました。

介護と仕事の両立をするにはどうすればいいのか、利用できる制度やサービスなどをご紹介します。

自分だけで介護をしようとせず、介護保険サービスを利用する

自分だけで介護をするのと、何らかの介護サービスを受けながら介護を行うのでは、自分自身の心身への負担が格段に違います。

また、仕事と両立するには、仕事に行っている間は、何らかの介護サービスを利用する必要が出てくると思います。

デイサービスや、訪問介護などうまく利用しながら、無理なく仕事と介護の両立が行えるようにしましょう。

介護サービスを利用する際に、どこに相談すればいいの?という疑問がある方は

【介護福祉士が説明します】介護施設の探し方は?どこに相談すればいい?」の記事もご覧ください。

最初は、大丈夫だと思っていても、だんだんと生活リズムの負担が大きくなったり、場合によっては介護度も高くなってくる可能性もあります。

介護は短期間で行うものではなく、長期間付き合っていくものと考え、最初から無理のない体制がとれるように考えておく必要があります。

ケアマネや介護士と連携を

介護保険サービスを利用する場合は、介護認定を受けたあとに、担当のケアマネージャーと相談の上、必要に応じたケアプランを作成します。その後、介護保険サービスが開始されます。

担当のケアマネージャーや日々かかわりのある介護士などに不安に思っていることはなんでも相談し、日々の問題や不安なことなどはその都度解決していきましょう。

一緒に見守り、考えてくれる人がいるということだけで、気持ちが軽くなりますよ。

介護にまつわる制度を活用する

まずは、必ず勤めている職場に「介護をしている」ということを事前に伝えておきましょう。

介護を行っているときは、やむを得ない急な遅刻や欠勤をしてしまうことも出てきます。

そういった際に、事前に介護をしていることを伝えておくと、職場内での理解が得やすくなります。

また、勤務先には育児・介護休業法にもとづいた「仕事と介護の両立支援制度」が整備されているはずです。

勤務先や条件などで利用できる制度が異なりますが、介護にまつわる制度は以下のようなものがあります。


1.介護休業

労働者が要介護状態(負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害によ
り、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)にある対象
家族を介護するためにする休業

2.介護休暇

要介護状態にある対象家族の介護その他の世話※を行う労働者は、1年
に5日(対象家族が2人以上の場合は10日)まで、介護その他の世話
を行うために、休暇の取得が可能
●1日又は半日(所定労働時間の2分の1)単位で取得可能
●1日単位での取得のみとすることができる労働者
●1日の所定労働時間が4時間以下の労働者
●半日単位での取得が困難と認められる業務に従事する労働者(労使協定が必
要)

3.育児・介護のための所定外労働の制限〈残業の免除〉

3歳に満たない子を養育する労働者が子を養育するため、又は要介護状
態にある対象家族を介護する労働者がその家族を介護するために請求し
た場合には、事業主は所定労働時間を超えて労働させてはならない

4.育児・介護のための時間外労働の制限

小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者がその子を養育す
るため、または要介護状態にある対象家族を介護する労働者がその家族を
介護するために請求した場合には、事業主は制限時間(1か月24時間、
1年150時間)を超えて時間外労働をさせてはならない

5.育児・介護のための深夜業の制限

小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者がその子を養育す
るため、または要介護状態にある対象家族を介護する労働者がその家族を
介護するために請求した場合には、事業主は午後10時~午前5時(深夜)
において労働させてはならない

6.介護のための所定労働時間短縮等の措置

要介護状態にある対象家族を介護する労働者に関して、所定労働時間短
縮等の措置を講じなければならない


介護のための長期の休みや短期の休み、残業の免除や労働時間の短縮など……

労働者としてこういった制度を利用する権利があります。

それから、介護を行う労働者を雇用する事業者に「転勤」をさせる際には労働者の状況に応じて配慮をしなければならない、という規定もあります。

職場に相談しながら、介護休暇などの制度を利用し、無理なく仕事と介護の両立をしていきましょう。

まとめ

いかがでしたか?

「仕事と介護の両立」決して簡単なことではありません。

しかし、「仕事を辞めて介護をする」ことを選択することも収入減なども大きなデメリットを生じます。

できることなら仕事を辞めたくないと思っている人も少なくないはずです。

今回話を聞いた『親御さんの介護を行っている介護福祉士さん』によると、

「介護を重荷だと思いすぎず、日常のごく一部だと思うこと」「自分が介護をしなければいけないと思いこまないこと」が仕事と介護をどちらも継続していくコツだと話されました。

自分自身は介護にまつわる制度をしっかり活用し、うまく介護保険サービスも利用しながら、「仕事と介護」を無理せずに両立していきたいですね。

そして、ささいなことでも1人で抱え込まず、ケアマネージャーなどに相談して不安ごとはその都度解消するようにしましょう。

家庭で介護をしていると、ついつい自分のことは後回しにしてしまいがちですよね。

ですが、どんな時も、どんな人も「自分の時間を楽しむ権利」があります。
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